これで何度目かなあ、と思いながら2000年のJ・M・クッツェーのインタビューを見る。オランダのテレビ局が制作した「美と慰めについて/Of beauty and consolation」というシリーズ。最初のほうは、ケープタウンのホテルでのインタビューで、音楽的な美しさがあると著者自身がいう『マイケル・K』の最後の部分を、オランダ語で朗読するクッツェー。(このブログに埋め込むのは、たぶん、1度目、2度目、そして今回の3度目)
(以下のメモは備忘のため)
「書くことについて/on writing」
世界をありのままに把握してそれをある枠組みのなかに置き、ある程度まで手なづけること、目標としてはそれで十分/grasping the world as it is and put it within a certain frame, taming it to a certain extent, that is quite enough for an ambition」
これはアレルギーで微熱をだしたジョンが書物を貪るように読みはじめた『少年時代』のシーンである。『青年時代』『サマータイム』と書き継がれた自伝的三部作(1)の初巻を訳してから「緑の本」とはどんな本だろうとずっと思っていた。謎を解いてくれたのが2018年10月9日に作家が古巣のシカゴ大学で行なったこの講演 Growing up with The Children's Encyclopedia (『子供百科』で成長すること)だ。母親が買いあたえた中古の百科事典が少年期の自己形成にどんな影響をおよぼしたか、それを細かく検証しようとする作家はこのとき78歳である。
とりわけ『The Origin of Others/他者の起源』の最終章に、次のような文章が出てきたときは、書き写さずにいられなかった。記録として、ここに引用しておく。
With one or two exceptions, literary Africa was an inexhaustible playground for tourists and foreigners. In the works of Joseph Conrad, Isak Dinesen, Saul Bellow, and Ernest Hemingway, whether imbued with or struggling against conventional Western views of a benighted Africa, their protagonists found the world’s second largest continent to be as empty ...... The Origin of Others by Toni Morrison (2017)
オーストリアのハイデンライヒシュテインで22-23日の2日にわたって開かれた「霧のなかの文学」で、クッツェーは『イエスの幼子時代』『イエスの学校の日々The Schooldays of Jesus』と続いたイエスの三部作の最後『イエスの死 The Death of Jesus』から女優のコリンナ・キルヒホフといっしょに朗読したと伝えられる。