2021/11/20

毎日、朝日、日経、各紙に書評が次々と:『J・M・クッツェーと真実』『少年時代の写真』そして『山羊と水葬』も

怒涛の7-9月が過ぎて、燃え尽きていた10月、3冊の本たちが次々と船出していった。そして11月になって新聞に書評が掲載されはじめた。ぼんやりしているとすぐにブログがお留守になる。ちゃんと書いておかなくちゃ。


まず11月6日(土)の毎日新聞には、堀江敏幸さんが『J・M・クッツェーと真実』『少年時代の写真』の2冊を丁寧に読み込んで、書評を書いてくれました。2022字の大きな枠でした。ありがたい!

  英語に抗いつつ英語で記す葛藤 

結びの、ところで本書の隠れた力は、<エピローグ>で語られた著者自身の生い立ちにある。…中略…『少年時代』を読んでいるとき<これはあなたの仕事だという声が聞こえてきた>と振り返る著者の言葉が、柔軟な筆致に厳しさをもたらすのは、この一冊がクッツェーという近しい他者を通して描いた、まぎれもない自伝でもあるからではないだろうか」には、ああ、そういう読み方が可能なのかと驚き、感動しました。


そして今日11月20日(土)の朝日新聞には、江南亜美子さんがやっぱり2冊いっぺんに取り上げながら、柔らかな筆致で内容を紹介してくれました。それぞれの本の特徴をあげ、作家J・M・クッツェーが世界でどんな立ち位置を占めているかまで、過不足なく書いて、最後に『山羊と水葬』に触れる。このスペースで3冊を紹介するという離れ業に脱帽し、心から感謝します。

  国離れて得た自己省察の視座


また同じく1120日(土)の日経新聞では粟飯原文子さんが、アフリカの文学研究を専門とする人ならではのポイントをしっかり押さえて、『JM・クッツェーと真実』をがっつり評してくれました。「鋭い作品分析、歴史の解説、作家との交流や南ア訪問の逸話等に導かれてクッツェーの魅力が存分に味わえる。愛に溢(あふ)れる書物だ」という最後のことばにはもう涙!

  身を削り見つめた南ア社会



どれも本当に嬉しく、ありがたく、著者、訳者冥利につきます!