13人の「この人たち、本邦初訳です。」という特集。
ヴラディスラヴィッチは1957年にプレトリアに生まれて、現在はヨハネスブルグに住んでいます。名前からわかるように、東欧系。父方はクロアチアからの移民だそうです。
写真や絵画との関連作品が多く、ヴィジュアルな要素をことばでシュールに描き出す作家。「首相が死んでしまった」に出てくる編み物をするエキセントリックなおばあさんが出色です。タイトルはこのおばあさんがラジオを聞いていて、ニュースで首相が刺殺されたことを耳にして叫んだことばです。
南アでは、1948年に立ち上げられたアパルトヘイト制度の実質的な骨組みを作ったヘンドリック・フルヴールト(1901~1966)という首相が、国会開催中に刺殺されるという事件が起きています。作品が描かれたのは事件が起きたときからぐんと下った80年代。検閲の厳しい時代に書かれた作品なので、暗に含みをもった表現が盛り込まれていて、なにげなく、一見フツーに描かれていることばの裏に、とびきり辛辣な揶揄が含まれている、そんな短編です。物語の後半にかけて、不穏な感じが勢いづいていく様子がなんとも。
表紙をアイヴァンさんに添付ファイルで送ったら、愉快な表紙に描かれているほかの乗組員が誰なのか興味津々です、と返事が来ました。雑誌は現在、ヨハネスに向かっているはず。南アは郵便事情が危ういのでしっかり書き留めで送りました!