E. Costello : I believe in what does not need to believe in me.──J. M. Coetzee

2018/06/17

S・シスネロス『マンゴー通り、ときどきさよなら』のイベント無事終了!

6月も中旬だというのに、もうすぐ夏至だというのに、なんと寒い日々だろう。

温又柔さん、金原瑞人さんと──会が終わって
季節はずれの低い気温と、季節に従順に空からぱらぱら落ちてくる雨。土曜日の下北沢、B&Bで行われた、サンドラ・シスネロス『マンゴー通り、ときどきさよなら』白水社Uブックス復刊記念のイベントが、無事に終了しました。いっしょにシスネロスの魅力を語ってくれた金原瑞人さん、温又柔さん、ありがとうございました。

 イベント前にこれをかけましょう、といって、ライ・クーダーのCDをもってきてくれた温さん、Muchas gracias!  来てくださった方々に、『マンゴー通り』とほぼ同時期にゲラを読んでいたクッツェーの『モラルの話』の内容を話すことができたのは、もっぱら金原さんがさらっと巧みに話の流れをつくってくれたおかげでした。Muchas gracias!

 シスネロスが『マンゴー通り』の各章をいつ、どこで書いていたのか、彼女の新著 A House of My Own から紹介しました。また、さらさらと読ませながらガチで考えさせるクッツェーの硬質な文章と、12歳の少女のみずみずしい語りを同時に読む、というまれな経験についても話すことができました。それは、クッツェー作品に惹かれるわたし自身と、シスネロスのやわらかなことばによって解放されるわたし自身のあいだを、行ったり来たりする小さな旅でもあったと思います。得難い体験でした。
 
 シスネロス自身が朗読する「マンゴー通りの家」を聞き、温又柔さんが朗読する「三人の姉妹」を聞き、それから訳者が「髪」を朗読。さらにシスネロスが来日したときのことを書いた自作詩を読んで会は終わりました。

 ぱらつく雨のなか、来てくださった方々に感謝します。9日の「クッツェー祭り」に続いてお世話になったB&Bのスタッフのみなさん、そしてなんといってもここまでリードしてくれた編集者Sさん、どうもありがとうございました。❤️

2018/06/13

オーストラリアのカーティン大学で朗読するJMクッツェー

 スペインからオーストラリアへ帰ったJ・M・クッツェーは、5月12日に西オーストラリアのパース近くにあるカーティン大学で最新作『モラルの話』から、最後におさめられた「ガラス張りの食肉処理場」を朗読した。
 調べてみるとパースは、彼の住むアデレードからかなり西にあって、30分だけど時差もある。いまオーストラリアは晩秋だろうか。
 備忘のためにネットにアップされていた写真を2枚ほど貼り付けておく。


カーティン大学のPeter Beilharz氏と

https://thesiseleven.com/2018/05/11/the-glass-abattoir-a-reading-by-j-m-coetzee/


2018/06/10

来週のイベントは──『マンゴー通り、ときどきさよなら』

昨日のJ・M・クッツェー『モラルの話』刊行記念イベント、「境界から響く声達」は無事終了。みなさん熱心に耳をかたむけてくださり、中身の濃い質問や意見などがつぎからつぎへと出て、あっというまに時間がすぎました。
 このイベントをきっかけにクッツェーという作家に興味をもったという人もいて、嬉しいかぎりです。ご来場の大勢の方々、見事なさばきで会を盛り上げてくれた進行役の都甲幸治さん、本当にありがとうございました。
 イベントの内容は、10月ころ雑誌「英語教育」(大修館書店)に掲載される予定です。

 読者との出会いは訳者には、とても、とても励みになります。昨日のようなイベントはとりわけ。間をおかずに、つぎつぎと中身の濃い質問が出て、それに対して訳者が待ってましたとばかりに(笑)ことばを返す、というやりとりは、訳した本が日本語の海のなかに確かに船出したのだと確認できるすばらしい機会です。たった一人で部屋にこもって、苦労して翻訳をしてきたかいがあったと、疲れも吹き飛ぶ瞬間なのです。これはもう訳者冥利につきます。


 さて、来週もイベントが続きます。

「今の日本で光を放つ、移民文学の魅力」

 サンドラ・シスネロス『マンゴー通り、ときどきさよなら』の復刊記念。おなじくB&Bで、16日(土)の午後3時。すでにお知らせしましたが、金原瑞人さん、温又柔さん、という豪華ゲストです。お楽しみに〜。


2018/06/08

明日です、クッツェー祭り、B&Bです!

明日に迫ったイベントのお知らせ:
新刊『モラルの話』ですが、じつはこれ、
老人文学、玄冬文学 の本格派なんです。

================
(以下は再掲です。)

日時:6月9日(土)午後3時から
場所:下北沢のB&B

第3回「境界から響く声達」読書会──J・M・クッツェーを読む 

  都甲幸治 ×くぼたのぞみ 

   詳しくはこちらへ!


 都甲幸治さんとクッツェーの話をするのは、2014年夏の自伝的三部作『サマータイム、青年時代、少年時代』(インスクリプト)の刊行記念の会と、2015初夏に新宿紀伊国屋南口店で開かれた『マイケル・K』の岩波文庫化記念トークにつづいて3度目です。

 今回は都甲さんが主役で、「境界から響く声達」という英語圏文学を読んでいく読書会に誘っていただきました。シリーズの第3回。
 カリブ海から始まり、チカーナ文学へ進んだこのシリーズ、今回の『モラルの話』は舞台がオーストラリア、フランス、スペインですが、クッツェーの出身地は南アフリカ。ここ数年のこの作家の行動範囲を考えると、3つの大陸を、北を介さずに横に結びながら、アメリカスはラテンアメリカまで延長。

 クッツェーが提唱する「南の文学」活動とその趣旨については、このブログでも何度か触れてきましたが、この『モラルの話』は5月17日にまずスペイン語で出ました。彼の第一言語である「英語ではない」というところが決め手です。アルゼンチンの編集者と翻訳家の仕事であることも重要です。それを追いかけるように日本語訳が5月29日に出ましたが、この意味はこれから日本語読者が考えていくことになるでしょうか。

2018/06/07

マドリッドでのイベント記録

5月26日にマドリッドで行われたJMクッツェーとコンスタンティーニの対話がアップされました。実際にはもっと長い時間のやりとりでしたが、編集されて、おもだったところだけアップしているようです。ちゃんと長いままアップしてほしいなあ。それに、イベントそのものに「南の文学」と銘打たれているのに、それも話に出てこないのがちょっと不思議です。

 備忘録としてここに。

2018/06/05

「すばるeye」にクッツェーの新作事情を書きました!

<なぜ J・M・クッツェーは最新作を英語で出さないか>

という文章を「すばる 7月号」に書きました。<すばるeye>のページで、6日発売です。

 最新作とはもちろん先日発売になったばかりの『モラルの話』(人文書院)ですが、いろいろ書いているうちに5ページになりました。9日(土)にB&Bで行なわれるイベントでも、このことは話題になるでしょう。

 現在のクッツェーがもっとも重要だと考えていること、つまり、クッツェーの現在地とでもいえばいいのでしょうか、『モラルの話』の訳者あとがきにも書きましたが、それが日本語読者にとってどんな意味があるのか、考えてみたいと思います。同時に彼の具体的な活動が、身振りが、世界の一つ一つの言語にとってどんな意味をもつか、「世界言語」としての英語との関係で、なにを明らかにしようとしているか。

 クッツェーはいま、みずからのたどってきた道を振り返りながら、自分の第一言語である「英語」が世界を乗っ取っていくやり方を痛烈に批判しようとしています。齢78歳で世界を飛びまわる姿には、非常に強い危機感が感じられます。鋭い指摘の向こうに見えてくるものはなにか?

 英語と他言語、英語と日本語、日本語と他言語、といった関係を、二項対立の枷をはずして考えてみたい。そうすれば「われわれの現在地」もうっすらと見えてくるかもしれません。


2018/06/01

アルハンブラ宮殿のJ・M・クッツェー

2018年5月31日、グラナダで開かれた国際詩祭の最終日に参加したクッツェーとコンスタンティーニ。場所は、なんと、アルハンブラ宮殿の遺跡です。記録としてネットで見つけた写真をいくつかアップしておこう。『モラルの話』から何を読んだのだろう?