他の2点(2)天路(リービ英雄著、講談社)(3)断絶(リン・マー著、藤井光訳)との関連もしっかり押さえられていて。。。
2021年12月25日朝刊の読書欄で、これは嬉しいクリスマス・プレゼントだった。備忘のためにこちらにも書いておく。
他の2点(2)天路(リービ英雄著、講談社)(3)断絶(リン・マー著、藤井光訳)との関連もしっかり押さえられていて。。。
2021年12月25日朝刊の読書欄で、これは嬉しいクリスマス・プレゼントだった。備忘のためにこちらにも書いておく。
風土の記憶、自分への目覚め
西日本新聞2021年12月25日朝刊に、あの大竹昭子さんが『山羊と水葬』(書肆侃侃房)の書評を書いてくれました。同世代で、あの時代を(「あの」がやたら多くてすみません!)東京で経験した人ならではの視点から、深い記憶の水の底へ、鋭いビームを投じるように読み解いて伝えてくれた大竹さん、ありがとうございました。
たとえば、「大学時代はジャズに夢中になり、東京中のジャズ喫茶を(当時は女独りで入れるような雰囲気ではなかったにもかかわらず!)独りで巡って……」というところなどは、あのころの社会標準としての空気を知らない人には、なかなか想像できないことかもしれません。この部分の読み解きはとても嬉しい。わたしの生まれた「家」は、当時の村の基準でいうと、農業を主業としている「農家」とはいえないかもしれないけれど(父は勤め人をしながら、母は子育てをしながら、小さな田畑を作っていた)、田舎と都会の距離などについて、現在から投じる光の当て方はきわめて的確です。
2021年のクリスマスに、なにより嬉しいプレゼントをいただきました。
Merci beaucoup!
2021年も残り少なくなりました。今年は、コロナウィルスが世界に蔓延して2年目、8月には猛暑の東京で、1年遅れのオリンピック、パラリンピックが開催されるという悪夢のような出来事もありました。しかし、過ぎ去ってしまえばすでに遠い、という感じが否めない。
でも、今年2021年はわたしにとって、なんといっても10月に3冊の著書、訳書を出せたことが大きな出来事でした。『J・M・クッツェーと真実』『少年時代の写真』(ともに白水社)『山羊と水葬』(書肆侃侃房)です。
そして今日の東京新聞に、今年の最後を飾るかのように、『J・M・クッツェーと真実』の書評が載りました。評者は、中村和恵さんです。「多様性のルーツに肉薄」というタイトルの文章で、外部から見れば「謎めいた」ように見えるクッツェーの姿を立体的に、核心をついた表現で伝えてくれました。
「J・M・クッツェーについて詳細に、同時にわかりやすく書く、という離れ業を本書はやってのける」と始まり、「現在はオーストラリア在住だが、やはり彼は南アの作家なのだ」と指摘する中村さんは、長年オーストラリアの先住民について調べてきた人です。
最後に、わたしが訳してきたアフリカ大陸出身の作家の名をあげながら、「あの大陸にはまだまだ、語られるべき物語、読まれるべき話がある」と結ぶ。この評者ならではのことばのシャベルで、時間と空間を掘り起こす視点が光ります。
Merci beaucoup!
12月14日の東京新聞夕刊「海外文学の森へ 21」に、グアダルーペ・ネッテル『赤い魚の夫婦』(宇野和美訳 現代書館刊)について書きました。
読んだのは、あの、暑い、オリパラの8月でしたが(もうほとんど忘れかけている夏)、この本を読んだときの新鮮な驚きはいまもありありと蘇ります。
2021年のノーベル文学賞はザンジバル出身の英語で書く作家、アブドゥルラザク・グルナが受賞しました。名前の通りグルナはアラブ系です。
他にもアフリカ出身の作家、アフリカ系の作家が今年の名だたる文学賞を総なめにした感がありました。そんな年の最後を飾るイベントにふさわしく、「アフリカン文学をめぐって」というイベントが開催されます。 わたしは第一部で30分ほど話をしますが、録音による参加です。
詳しいイベント情報はこちらから → アフリカン文学をめぐって
配信アドレス:https://youtu.be/zegrJRdsa1w