風土の記憶、自分への目覚め
西日本新聞2021年12月25日朝刊に、あの大竹昭子さんが『山羊と水葬』(書肆侃侃房)の書評を書いてくれました。同世代で、あの時代を(「あの」がやたら多くてすみません!)東京で経験した人ならではの視点から、深い記憶の水の底へ、鋭いビームを投じるように読み解いて伝えてくれた大竹さん、ありがとうございました。
たとえば、「大学時代はジャズに夢中になり、東京中のジャズ喫茶を(当時は女独りで入れるような雰囲気ではなかったにもかかわらず!)独りで巡って……」というところなどは、あのころの社会標準としての空気を知らない人には、なかなか想像できないことかもしれません。この部分の読み解きはとても嬉しい。わたしの生まれた「家」は、当時の村の基準でいうと、農業を主業としている「農家」とはいえないかもしれないけれど(父は勤め人をしながら、母は子育てをしながら、小さな田畑を作っていた)、田舎と都会の距離などについて、現在から投じる光の当て方はきわめて的確です。
2021年のクリスマスに、なにより嬉しいプレゼントをいただきました。
Merci beaucoup!