Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2011/11/21

プラムステッドとコンスタンシア──ケープタウン日記(6)

今朝のケープタウンの空は半分はれで、半分くもり。テーブルマウンテンは分厚い雲のおおわれて見えない。でも、風の街ケープタウンではあっというまに天気が変わる。雨と晴れと曇りが、風に追い立てられるように、交互に、めまぐるしく入れ替わる。ちょっとした雨に傘をさす人はいない。

 昨日(11月20日/日曜日)は、少年ジョンがヴスターからケープタウンに引っ越して住んだ通りや、汽車に乗ってカレッジに通ったプラムステッド駅などを訪ねた。
 大学に入って、親友ポールと夜通し歩いて、ポールの実家のある海辺の街へ行った話が『Youth』の最初あたりに出てくるが、そのセント・ジェームズへも足をのばした。フォールス湾を見下ろすようにして、バルコニーつきのきれいな家が建ちならんでいた。

『Summertime』に出てくるトカイ通りも車で走ってみた。たしかに幅の広い大きな通りで、高速道路からおりた警察のヴァンがポルスモア刑務所まで通ったところ、いまも通るところだ。

 これでクッツェー作品に出てくる場所で見たいところはほぼまわったので、ちょうど帰り道だったこともあって、コンスタンシアのワイナリーを見学! 5種類ほどテイスティングをしてみた。

 セントヘレナに流されたナポレオンが買い占めて、毎日のように飲んだといわれる極上のワインをつくっているところである。このワイン、以前このブログでも紹介したボードレールの『悪の華』におさめられた詩編「されど満たされぬまま/ SED NON SATIATA」に「コンスタンスの葡萄酒より、阿片より、ニュイの葡萄酒より/愛がパヴァーヌを舞う、おまえの口の妙薬が好きだ」と詠われたもので、19世紀からすでにヨーロッパでは名高いワインだったことがわかる。

 写真は上から、プラムステッド駅、ポルスモア刑務所の標識、フロート・コンスタンシアのブドウ畑。