2022/03/13

メジロがやってきた

 昨日と今日はポカポカ陽気で、春うららと言いたい気分になる。今日は朝から、ぴいぴいぴいと賑やかなさえずりが聞こえる。窓の向こうをみると、濃い桃色の花がふくらんで、いよいよ咲くかな、咲くかなと思わせる緋寒桜。

「経済効果」だかなんだか知らないけれど、ここ数年やたら枝を伐られる木々たち。それでもやってくる鳥たち。それを待っている人たち。

 今朝はメジロがやってきた。スマホなんか持ってないので、古いデジカメで手ブレを防ぎながらようやく撮ったメジロ。緋寒桜のふくらんだ蕾をしきりについばんでいる。

 メジロはウグイス色で、ウグイスは渋い灰色、というのは実際に鳥を見てあらためて気づいたことだった。もちろん、すべて東京にきてから得た知識だ。蘇芳色なんてのも、22歳か23歳のころ知った「外国語」に近い感覚の、「内地」でしか目にできない色を示すことばだった。

 今朝の朝日新聞「折々のことば」に、『山羊と水葬』が引用されていた。「サイロのある家」から。あれは窓ガラスを拭いているときの話だったな。


2022/03/09

第73回読売文学賞贈賞式のためのスピーチ

 白水社のお知らせサイトにアップされました。

『J・M・クッツェーと真実』読売文学賞贈賞式スピーチ


残念ながら、2月15日に帝国ホテルで開かれた贈賞式には出席することができませんでしたが、代理に編集の杉本貴美代さんが、その場でスピーチ原稿を読み上げてくださいました。杉本さんにはお世話になりっぱなしでした。心からの感謝を!

2022/03/08

パウル・クレーのカレンダーがきた

 2月はいろいろあって、思い出すだけでも背中が痛くなりそうな、怒涛の日々が続いた。そして背中ではなく、なぜか左膝が痛くなった。

こういうときは好きなものを身近に引き寄せること、それで急に思い立って、パウル・クレーのカレンダーを注文した。2022年のカレンダーをいまごろ注文する人もめずらしいか、と思いながら、目的はクレーの絵をカジュアルに壁に飾ることだから、これでOKなのだと自分に言い聞かせる。

あっという間に届いたカレンダー、さっそく飾った。とにかく好きなのだ、パウル・クレー!

 3月は、片目でウィンクしてるみたいなこの絵です。

2022/02/10

読売新聞 2月10日朝刊にインタビュー記事が掲載されました


 2月10日の読売新聞朝刊にインタビュー「南ア作家 読み解き続け」が掲載されました。基本的にメールによるインタビューをもとにしたものです。

 2月1日に発表された読売文学賞。「研究・翻訳賞」を受賞したわたしは、今日10日の最後の回に登場いたしました。記者の石田汗太さんが熱心に拙著、拙訳を読み込み、『J・M・クッツェーと真実』の内容や詩集『記憶のゆきを踏んで』からの引用を織り混ぜて、コンパクトながら要点をしっかり盛り込んで仕上げてくれました。

 さまざまな事情から直接お会いできませんでしたが、記事は骨太の内容。ちょうど前日9日に誕生日を迎えたジョン・クッツェーのお祝いメールのことばで結ばれていて、嬉しい。ありがとうございました。

2022/02/09

2月9日は、J・M・クッツェーの誕生日です!

Happy Birthday, John Coetzee!

February 9, 2022


ジョン・マクスウェル・クッツェーは1940年2月9日、ケープタウンのモーブレーにある産院で生まれました。ケープタウンは南半球ですから、真夏です。

天気予報では「明日は雪」という、春まだ遠い東京から。

2022/02/08

2022/02/01

『J・M・クッツェーと真実』が読売文学賞を受賞しました

 『J・M・クッツェーと真実』(白水社)が、第73回読売文学賞(研究・翻訳賞)を受賞しました。

 電話がかかってきたときは、びっくり。嬉しさはそのあとでじわっとやってきましたが、研究・翻訳の部門だと聞いて本当に驚きました。信じられない思いでした。だって、これまでの受賞者を見ると、アカデミズムの錚々たる研究者がずらり、ずらり、ずらりと並んでいて、その合間に女性の詩人や研究者や作家の名前がちらっ、ほらっ、と浮かんでいるだけなんですから。ほぼ全員に近い方々が男性です(女性は3人のみ)。

 そしてまた、ほぼ全員が「漢字」の名前です。例外は、第42回受賞の『韓国現代詩選』の詩人、茨木のり子さん。それだって、ひらがなは5文字のうちの2文字だけです(1990年にこの翻訳が受賞したことは大きな話題になって、すごいなと思ったことは鮮烈に覚えています)。そこに姓も名も6文字すべてひらがなの、在野の、一介の翻訳者・詩人の名前が加わるのですから、背筋がピンどころか、一瞬、足がすくみそうになりました。

 J・M・クッツェーの作品に出会い、衝撃を受けて、自分のライフワークとして翻訳を続けてきた結果、大きな賞をいただいたのは翻訳者冥利につきます。ジョン・クッツェーさんに知らせると、「わたしの書いた本を解明し翻訳するためにあなたが費やしてきた歳月に相応しい報奨」とお祝いのメールが贈られてきました。もう感無量でした。

 選評を書いてくださった池澤夏樹さんの、実に見透しの良い視線に感服します。「北海道に入植した一家の娘。アイヌを押しのけて土地を奪った者の子孫。南アフリカと、世界中の植民地と、同じ構造なのだ。/その自覚に至るまでの歩みを書いた、長い旅路の記録である」という最後のことばを万感の思いで読みました。池澤さん、ありがとうございます。

 この本が出るまでに多くの方々にお世話になりました。作品を読み、苦労しながらも翻訳をして、訳者あとがきを書いて、といった一連の作業プロセスで、ギリシア・ローマ古典やキリスト教の福音書の性質などをめぐる折々の質問に快く応じて、資料を指差し助言してくれた家人、森夏樹に深く感謝します。そして、なんといっても白水社の編集者、杉本貴美代さんにはお礼の言いようもありません。

 Merci beaucoup!  Muchas gracias!  みなさん、どうもありがとうございました! 🤗💖🤗

2022/01/28

図書新聞に『J・M・クッツェーと真実』『山羊と水葬』の書評が!

 図書新聞2022年2月5日号(書店発売は1月29日)の1面に、『J・M・クッツェーと真実』『山羊と水葬』の書評が掲載されました。

 評者は、『J・M・クッツェーと真実』が吉田恭子さん、『山羊と水葬』が木村友祐さんです。いずれも丁寧に読み込んで、しっかりと書いてくださった文章で、感激です。とても嬉しい。

 Merci beaucoup! 🤗。

2022/01/23

読売新聞に『J・M・クッツェーと真実』『少年時代の写真』の書評が掲載されました

 2022年1月23日(日)付の読売新聞に『J・M・クッツェーと真実』の書評が掲載されました。『少年時代の写真』もいっしょです。

沈黙と静けさ聞き取る

 評者は小川さやかさん!


──クッツェー文学を味わうとは「沈黙と静けさ」を聞き取ることだと著者は言う。美しく明晰な文章は静かで、それゆえ語間に漂う余白で考え、自問することを誘われるのだと。本書はまさにその沈黙と静けさを聞くための道案内の書だ。……中略……作品を何度でも読み返したい。

 ああ、クッツェー作品は、本当に、何度でも読み返したくなるんです。読むたびに、こんなこと書いてたのか、こういうふうに書いていたのか、と細部に新たな発見があるんです。そのための「道案内の書」と評してくださったのは、とても嬉しい。Merci beaucoup!

 

2022/01/11

「クロワッサン」で『山羊と水葬』が紹介されました

 1月11日発売の「クロワッサン」の Book というページに『山羊と水葬』(書肆侃侃房)が紹介されています。それは、こんなふうに始まります。

──海外文学、それもちょっと遠い国々の小説に興味がある人なら、この人の名前に見覚えがあるはずだ……主にアフリカの文学をまるで近所の友人の話を聞いているかのように滑らかに、そしていつの間にかその世界に引きこんでしまう筆致で訳す……

クッツェーの自伝的三部作を訳しながらケープタウンやヴスターを訪れたときのエピソードと、北海道で育ったころの思い出を重ねて読み解きながら、この本の魅力を伝えてくれています。Merci! Kさん!

 右下に書籍の大きな写真、左上にはMさんが撮ってくれた著者写真も。手にしているスイートピーの花束は、3日早い誕生日に、Hさんからプレゼントされたものでした。


 そして向かい側のページには、なんと、関口涼子さんが訳したシモーヌ・ド・ボーヴォワールの『離れがたき二人』(早川書房)の写真と評が! なんという偶然! 16歳のころ、サルトルと来日したボーヴォワールの『第二の性』を夢中で読んだ思い出も『山羊と水葬』には、ちょっぴり出てくるのでした。

2022/01/07

「すばる」で斎藤真理子さんと往復書簡を始めました

2022年1月6日発売の雑誌「すばる」で、斎藤真理子さんと往復書簡を始めました。「曇る眼鏡を拭きながら」というタイトルです。2019年の真夏にB&Bで

「今日も眼鏡を吹いている──翻訳、移民、フェミニズム」

というトークイベントをしたときの、ま、言ってみれば「続き」ですね。

くぼたが最初の手紙を書きました。それはこんなふうに始まります。

──雪の恋しい季節です。長らく東京に住んできましたが、東京の冬は北海道より寒い、と思ったことがありました。あれは東京で初めて迎えた冬だったかな。

そして翻訳家、斎藤真理子さんの訳した『すべての白いものたちの』(河出書房新社)のなかで雪をめぐる断章を読んだときの驚き、あの忘れられない瞬間のことも書きました。

 来月は斎藤真理子さんからのお返事です。とっても楽しみ!

2022/01/01

 2022.1.1

あけましておめでとうございます

今年はどんな年になるのでしょう?

とにもかくにも、われらが時間はまだ続きます。

La vie continue! 

今年もどうぞよろしくお願いします


アデレードのジャカランダ