J・M・クッツェー『モラルの話』の書評が神戸新聞、琉球新報に掲載されました。評者は共同通信の田村文さん。親と子の関係を中心に据えるしなやかなアプローチで、この本の重要ポイントをきっちりと、過不足なく伝えてくれます。
情緒や干渉を排した筆致と、透徹した視線で綴られた物語を読みながら、背筋がどんどん伸びていく。哲学的な思考と物語の融合の先に、人間のモラルと生の意味がほの見える。
という結びがばっちり。「背筋がどんどん伸びていく」というところが、いいなあと。クッツェーという作家のすごさを十二分に理解した人ならではの表現かも。
あ、それからヘレンとジョンが母エリザベスにいっしょに住もうといって断られるところで、「娘と息子とのエゴがじわじわとにじんでくる」と書く視線の鋭さ。「そして頑迷ゆえに老いを受け入れようとしないようにみえるコステロの抵抗の背後から、深い孤独が浮き上がってくる」と、てらいのない平明なことばで、クッツェーが書きたかった(と思われる)ポイントをじわりと浮上させます。
全文はこちらで読めます。ぜひ!
情緒や干渉を排した筆致と、透徹した視線で綴られた物語を読みながら、背筋がどんどん伸びていく。哲学的な思考と物語の融合の先に、人間のモラルと生の意味がほの見える。
という結びがばっちり。「背筋がどんどん伸びていく」というところが、いいなあと。クッツェーという作家のすごさを十二分に理解した人ならではの表現かも。
あ、それからヘレンとジョンが母エリザベスにいっしょに住もうといって断られるところで、「娘と息子とのエゴがじわじわとにじんでくる」と書く視線の鋭さ。「そして頑迷ゆえに老いを受け入れようとしないようにみえるコステロの抵抗の背後から、深い孤独が浮き上がってくる」と、てらいのない平明なことばで、クッツェーが書きたかった(と思われる)ポイントをじわりと浮上させます。
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