Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2016/12/16

「本の雑誌」で2人の評者が『アメリカーナ』を

数日前に発売された「本の雑誌」でアディーチェの『アメリカーナ』が紹介されています。それも、なんと評者が2人もいっしょに、ダブルです!

まずは佐久間文子さんの 「2016年度現代文学ベスト10」で、筆頭に『アメリカーナ』があがっています。記事のタイトルは:

 アディーチェ『アメリカーナ』を記憶に刻む

 佐久間さんは、「トランプ大統領、ありえますよ」という年賀状を今年のお正月にアメリカ政治の専門家からもらった話から書き起こし、この小説内に出てくる2008年の大統領選挙でバラク・オバマが勝利したときのシーンに触れていきます。作品を立体的な文脈のなかに位置づけて見通す視点の、しなやかな評です。最後にスーザン・ソンタグの名があるのが印象的でした。

 江南亜美子さんが今号から担当する「新刊めったくたガイド」でもまた『アメリカーナ』が取りあげられています。チママンダ・ンゴズィ・アディーチェという作家の来歴やこれまでの作品のことを紹介して、長編三冊目にあたるこの『アメリカーナ』の魅力について細部までリアルに伝える評、そのタイトルがすごい!

 まったき恋愛小説

 そして、ここにもまず最初にスーザン・ソンタグの名前がありました!
 最後の決め文句──「このボリュームにもかかわらず、もっと長く物語世界にとどまりたいと思わせてくれる一冊である」が、長編だけれど、いや長編だからこそ余韻があとを引く、物語の魅力を伝えてくれています。


 「本の雑誌」って、いまどんな本が出ているのか、ざっと見渡すことができるんですよね。それも一級の評者があれこれ書いてくれるので、確かな情報がとっても助かります。

 なんだか数日前からぐんぐん冷え込んできた東京ですが、『アメリカーナ』の面白さが少しずつ読者の方々に届いていくようすが伝わってきて、長期間がんばったかいがあったな〜と、陽だまりの猫のような気分です。ふわ。

 Muchas gracias!