2014/03/01

へろへろOL時代 ──「水牛のように 3月号」

遠いむかしといっても「むかし」にはいろいろある。

「水牛のように 3月号」に「へろへろOL時代」を書いた。決して長くはない時間だったけれど、わたしの20代にとって重い記憶を残した経験だった。その後、何度も舗道を駆ける夢を見たほどだから。

 記憶の断片をつなぎあわせてひとつの物語ができても、必ずしもその物語が実際に起きた出来事によって成り立っているとはかぎらない。細部には無数の記憶違いや、あいまいな記憶をことばのピンで留めるためにフィクション化による書き替え、書き加えをすることがある。無意識にやっている場合もある。できるかぎり、意識化し、記憶する自分に批判的であろうとする人もいる。自分はどっちなんだろう、とふと思う。だが、自分の記憶に対する疑義と再定着化は、書いていて新鮮だ。