Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2014/03/02

暗い日曜日はクープランで

春めいたと思ったら、また寒のもどり。いつものことだけれど。Sombre dimanche. 暗い日曜日。

 オーディオ装置が壊れたのでついに新調した。15年ぶりだ。これまで使っていたものとおなじDENONのもので、今回はレシーバーとスピーカーというシンプルな組み合わせ。20代に初めて買ったコンポとおなじだ。

 ところが、いざ音楽を聴いてみると、こっちの耳が軟弱になっているのか、どうも音が硬い。友人によると、心地よい音になるまで30時間くらいかかるそうだ。がんがん好きな音楽をかけて、装置自体をならす必要があるらしい。ふ〜ん、そうなのか。これまでそんなことを意識したことはなかったなあ、やっぱり聞き手の変化かなあ、などと思いながらいろいろかけてみる。

 最初はバッハの無伴奏チェロ組曲。軽いのりのマイスキーだ。それからグールドでバッハのパルティータをかけてみた。さらにフランス組曲。悪くはないが、最後のほうになると、耳がちょっと疲れてくる。

 そこで、ふと思い出してかけたのが、このクープラン。1991年の録音で、購入当時から何度もくりかえし聴いてきたCDである。これがいける! オーボエの音がじつに美しい。くっきりと立ちあがってくる。ファゴットの低音部も心地よく、何度もくりかえしかけることになった。

 外は小雨。気温もぐんぐん下がっていくが、室内はふんわり暖かく、しかし輪郭はシャープなオーボエの音色が響く。これで「暗い日曜日」は乗り切ろう。

 アレクサンドル・ヘモンの『愛と障害』を読む。これがめっぽう面白いのだ。明日のイベントも楽しみ。
 ヘモンといえば、そのむかし雑誌「ヴィレッジ・ヴォイス」に、カプシチンスキイの『黒檀』に対するピリ辛の評「Misguided Tour」を書いていたっけ。
 そういうことだったのか!