Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2013/11/17

ひさびさのヒット ── YOUNG BONES by Malia

待っていたアルバム、とうに到着していて、毎日のように聞いている、いや、聴いている。

Young Bones by Malia。マラウィ生まれのこのシンガーについては先日書いたので、詳しいことはそちらへ

 ひさびさのヒット、もちろん、わたし個人にとって。絶妙な度合いのハスキーヴォイス。気怠さ。スタンダードなジャズナンバーが、肩が凝らずに聞けるアルバムになっている。

 60年代のニーナ・シモンなどは室内向けではなかったけれど、これは、完全に室内オーディオルーム向けだ。仕事のあいまに、ちょっとファイルを閉じて、こうしてブログを書きながら聞くのに絶好の音楽でもある。それでいて、薄っぺらさや頽廃感は、ない。シンプルで深い。かなり知的でもあるが、カーメン・マックレエのような固さはない。飽きない。

 80年代初めころからか、いや70年代の終わりからか、ジャズという音楽はすでに山を越えて、「おしゃれな音楽」へ向かってひた走るようになった。往年のホットなプレイヤーも、もっぱら余裕の「楽しめる音楽」を奏でるようになって.....それはそれで成り行き、というか、ひとつの歴史的流れなんだけれど。。。。

「ワールドミュージック」ということばが出てきたのは20年くらい昔だったか。ここ数年前から「世界文学」ということばも、あちこちで語られるようになった。簡単に比較はできないけれど──文学と音楽は構成要素がまるで違うのだから──しかし、結局は、「商業的に」という縛りからどれだけ自由になれるか、というところで勝負する姿勢は、人間の活動としては共通する部分はあると思う・・・なんてことを、ぼんやり考えながら、力を抜いて全身でひたる音楽。くり返し。