Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2013/11/08

フランス語訳『Here and Now』── Ici & maintenant

早い! もう届いたのだ。なにが?

Here and Now』のフランス語訳、タイトルはそのまま直訳の『Ici & maintenant』。形が面白い、縦長の変形。遊んでいるなあ。ちょっと贅沢! 
 手に持って開くと、とってもいい感じにページが開く。大きめだけれど、これなら電車のなかでも読める。コートのポケットにすいっと入りそうだ。もちろんバッグにも縦に、折り畳んだ新聞みたいに射し込める。
 最初からペーパーバックというのも洒落ている。出版社がいつもの Seuil ではなく、Actes Sud という出版社なのだ。表紙にまでこんな断り書きが出ていて、笑える。

 traduit de l'anglais [États-Unie et Afrique du Sud]
   par Céline Curiol et Catherine Lauga du Plessis

こんな断り書き、というのは、クッツェーもオースターもこの本のなかで、自分のフランス語訳には扉にいつもこういう断り書きが出る、と、ちょっと不満そうに、ちょっと面白がって触れているからで、出版社はそれをわざわざカバーにまで印刷してしまったわけだ。

 もちろんこの場合、「合州国」英語はオースターの英語を、「南アフリカ」英語はクッツェーの英語のことをさしている。面白いのは、僕の英語がいつから「南アフリカ英語」になったのか、だれか教えてもらいたい、というようなことをクッツェーが述べる場面が、この本のなかに出てきたりするところ。

 クッツェーのパートを訳しているカトリーヌさんは、70年代にケープタウンに住んでいたことのある、ジョンの何十年来の友人で、私も以前から彼女のフランス語訳は参照してきた。今回もまた、いろいろお世話になりそうだ。