Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2012/10/27

クッツェーがスタンフォード大学で

10月22日にスタンフォード大学でJ・M・クッツェーを迎えて開かれた会のようすが、The Stanford Daily のサイトで読めるようになりました。

 来年3月に出版される The Childhood of Jesus からリーディングをしたあと、スタンフォード大の比較文学の教授たち、アメリカ文学の教授たちとディスカッションをしたようです。質問には短く、ストイックに答えていた、とあります。

彼の作品は自伝的だといわれるが、クッツェー自身は登場人物と作家のあいだには一定の距離があることを強く主張した、というのはむべなるかな。フィクションはひとたび作家の手を離れると、それ自身の生を生きはじめるのだから、場合によっては、そのフィクションについて質問をする相手としてその作家はふさわしくないこともある、と。これは彼がいつもいっていることですね。

 「沈黙の扱い方を熟知している」作家クッツェーの「ことば」に対する倫理性と厳しさは、他のフィクションの書き手たちの追随を許さないところがありますが、それを身をもってしめし続けているのが、彼の行動を追いかけているとよく分かります。

 9月初めにドイツ、フランス、イギリスといったヨーロッパ諸国から始まった今回の長旅は、これでそろそろ終わりでしょうか。お疲れさま。