先週の雨の日、砧公園にある世田谷美術館に行ってきた。前から行きたいと思っていた版画家、駒井哲郎の展覧会である。
これは資生堂名誉会長の福原義春氏のコレクションだ。福原さんとは以前、NHKの「週刊ブックレビュー」でごいっしょさせていただいた。4月29日の「コレクションを語る」というトークはぜひ聴きにいきたかったが、残念ながらかなわなかった。
毎週土曜日には子供から大人まで参加できる版画のワークショップも開かれている。期間は7月1日が最終日。残すところあと4日だ。できれば、もう一度行きたい。
駒井哲郎(1920-1976)という名は、安東次男との共同作品『カランドリエ』『人それを呼んで反歌という』という詩画集に心うつ作品を残した人として、わたしの学生時代の記憶のなかで大きな位置を占めていた。
今回の展覧会はその駒井哲郎のほぼ全生涯にわたる作品が展示されていて圧巻。あの線描と落ち着いた渋い色遣いが大好きだったので、作品をまとまったかたちで見ることができて本当に感無量だ。なつかしい本や、雑誌の表紙なども展示されていて、一枚一枚たどっていくと、何層にも重ねられた記憶の時間のトンネルを抜けていくような不思議な感覚に襲われた。そしてあらためて思ったのは、この時期の日本のアーティストたちというのは、その創作のエネルギーの大半を自意識との格闘に費やしたのではなかったか、ということだ。
毎週土曜日には子供から大人まで参加できる版画のワークショップも開かれている。期間は7月1日が最終日。残すところあと4日だ。できれば、もう一度行きたい。