Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2011/10/07

静かにすぎた「ノーベル賞」喧噪週間

 今年のノーベル文学賞はスウェーデンの詩人、トーマス・トランストロンメルが受賞した。

 たぶん何人もの人たちが机の前にスタンバイした状態で、6日午後8時にノーベル賞の公式サイトへ行って、「LIVE」という文字が左上にはりついた画面を見ていたことだろう。去年、一昨年は、どきどきしながらその瞬間を待っていた。でも、なぜか今年はすこしもどきどき感がなかった。なにかが決定的に変わってしまったようだ。

 一昨年がル・クレジオだから2年後の今年はフランス語文化圏の受賞者はないだろうと思ったし、去年はスペイン語圏のリョサだったから今年あたりは韓国とかアラビア語圏へ行ってもおかしくはないか、もちろんアフリカもそろそろちゃんと考えたっていいはずだけれど、とか、個人的な期待感はあったけれど、なぜか、どきどき感はまったくなかった。

 ふつうに仕事をしていて、あれ、7時58分だとふと気がついて、クリックして観た。まず、もうおなじみになった顔の発表者がスウェーデン語で述べて、次に英語でやります、といって、ペーパーを見ながら詩人の名前を発表した。あ、そういうことね、という感じ。自国の、80歳を超えた高名な詩人。多くの言語に作品が翻訳されている人だ。日本語訳も出ているみたいだから復刊されることだろう。詩に光があたるのは嬉しい。

 というわけで、また通常どおりの仕事へもどった。それから、半時間ほどして、検索するとネットのニュースにも流れていて、はい、今年はこれでおしまい。お疲れさまでした!