Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2011/08/05

ジュノ・ディアスの話を聴いてきました

昨日、溜池山王で開かれたジュノ・ディアスを囲んだシンポジウム「オタク・災害・クレオール」に行ってきました。
『オスカー・ワオの短く、凄まじい人生』(このブログにも書評を掲載)の著者は、写真で見るより全体に細身。都甲幸治さん、小野正嗣さんと、なぜか3人チェックのシャツ姿でならび、短い時間ながら面白いトークを展開してくれました。

「オタク」「災害」とこなしていって、「クレオール」については残念ながら時間切れ。これを話し始めるとものすごく広いスパンの話になるなあと思っていて心配なほどだったけれど、やっぱり話はその手前で終わりましたね。

 エスパニョーラ島の東半分を占めるドミニカ共和国で生まれて6歳まで住んだカリブ出身者らしく、「災害」についてはとても敏感に反応、いや、きちんと考え、判断し、行動しているところが印象的でした。石巻まで行って、この冬に本格的なボランティアとして参加するための下見をしてきたとか。今回の日本の原発事故についても鋭い意見をきっぱり述べていたし。

 しかし、わたしのトリビア頭にいちばん印象に残ったのは、腰痛の話です。大学の教職につく前に肉体労働をしていたころ、毎日、ビリヤードのテーブルを運んでいたそうです。あれはものすごく重いですよ、試しに、今度見かけたら押してみてください、といっていた。それで腰掛ける姿勢をつづけていると腰痛に見舞われるとか。リアル!

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付記:さきごろ「Hitting Budapest」でケイン賞を受賞したジンバブエの作家、ノヴァイオレット・ブラワヨがインスパイアされた作家としてイヴォンヌ・ヴェラとともに、ジュノ・ディアスをあげている。やっぱりなあ。コミットする力と技法が飛び抜けてすぐれているもの。