2010/06/09

「心の揺れを捉える」アディーチェ

雑誌「新潮」7月号に、アディーチェとその作品について論じる、都甲幸治さんの文章が載っています。連載「生き延びるためのアメリカ文学 28」です。
 「アメリカ文学」というところがミソですね。そうです、紹介されている彼女の短編集『The Thing Around Your Neck/なにかが首のまわりに』にはアメリカを舞台にしたものが多い。だから十分に「アメリカ文学」でもある。ナイジェリアから US に移住して大西洋を往復する人たち、英語とイボ語が混じることば、二つの文化のあいだで揺れる感覚。

 読んでいて、なんとなく遠くが見えるような気分になります。チママンダ・ンゴズィ・アディーチェという作家の現在地が、風通しのいい視界のなかに位置づけられているからでしょう。