Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2016/09/21

アルゼンチンの刑務所を訪れたクッツェー

現在ブエノス・アイレスにいるJMクッツェーについて、興味深い記事がアップされた。Folha というサンパウロの媒体の記事だが、ざっとgoogleで訳したものを部分訳して引用する。現在、この作家が何を考え、どのような活動をしているか、それを理解するための大いなる助けになることは間違いない。

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アルゼンチンの刑務所を訪れたクッツェー
シルヴィア・コロンボ(Folha de S.Paulo)

つい最近、ホセ・レオン・スアレスを訪れたクッツェー
──アルゼンチンの刑務所を訪問するようになったのはどうしてですか? 南アフリカや他の国々でもこのような活動をしているのですか?

JMC──このプロジェクトは、わたしが国立サンマルティン大学を初めて訪問したときにスタートしました。刑務所で「ワークショップ」をしたことはありませんでしたが、南アフリカでは朗読や囚人が書いた文章にコメントするといったことには参加していました。

──2015年のマルバで行われたパネルディスカッションで、アルゼンチンの作家たちとともに、ヨーロッパやアメリカの出版社の調停に対する批判をしていました。彼らは翻訳や、他の世界から出てくる文学をプロモートすることにほとんど関心を示さないと、作品と大きな距離をとりながら、相互交流を阻んでいると。それは変わってきている思いますか?

JMC──変わってきたという明らかな証拠は見えません。それ以上に、ここ数ヶ月のあいだにこの目で見たことは、ラテンアメリカ諸国による相互交流がいかに困難かということでした。ラテンアメリカの作家たちの作品をラテンアメリカ諸国内で独自に出版流通させる手段がない、それが理由です。

──アルゼンチンの刑務所と南アフリカの刑務所の相違点と類似点はどんなものでしょうか? 

JMC──どんな国へ行っても、刑務所での日課は相違点より類似点が多いものです。でも、わたしは個人的には刑務所経験はありません。そこで生きている人たちの経験についてあれこれ語る資格はわたしにはないと思います。

──では、相互交流したアルゼンチンの囚人の作品ですが、その文学的な性質についてはどうお考えですか?

JMC──彼らは自分の感情を表現したい、非常に情熱的な考え方を表現したい、と思っていますが、それには限界がある。なぜなら、十分な教育を受けていないため、また文学になじみがないため、明らかに最も基本的なものにさえです。刑務所の教師たちは、自己表現の練習を刺激しながらすばらしい仕事をしています。

──この南アメリカでの経験をこれからお書きになる作品で使う計画はありますか?

JMC──作家として、そういうやり方をわたしは採りません。
 (取材前に、メールによって行われたンタビューです)