評者は詩人の田中庸介さん。この本の書き手と本自体の構造的関係を「メタファー」という語を用いて解明する、とても力のこもった評です。なみなみならぬ意気が伝わってきて感動しました。
それも一面に掲載、向かって左手です。偶然ながら、右手には奥田愛基さんのプロフィールがあり、西谷修氏の論考が。
また、なかには管啓次郎さんらの『地形と気象』の書評もあって....読み応えたっぷりです。
こうしてありがたくも書評が出そろうと、自分がなにを書いたのか、それが誰にどんなふうに受け止められたのか、ということが客観的にわかってきます。書き始めたときや、本を出したばかりのときには、まったく見えなかった視点がおぼろげながら見えてくる。
ずらりとならぶ書評者はすべて男性。予想はしていましたが、例外なく、でした。
毎日新聞──池澤夏樹氏
北海道新聞──野村喜和夫氏
日経新聞──陣野俊史氏
週刊読書人──芳川泰久氏
図書新聞──田中庸介氏
東京新聞・中日新聞──男性記者?
「本の雑誌」──都甲幸治氏
でも、実は、女性読者からの感想もたくさんいただいています。「ボードレールからクッツェーまで、黒い女たちの影とともにたどる旅」というところに鋭く、強く反応してくれる方々が多い。ただし、それは活字にはなりにくい感想やことばで、まさに「境界の文学」のラインのあっちとこっちで、ぱっきりと分かれる、ということのようでもあります。そこにもまた、いろいろ考えていくヒントが埋まっていそうです。とても興味深い結果です。
読んでくださったみなさん、どうもありがとうございました。
まだまだ旅は続きます。これからもどうぞよろしく!