Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2015/12/24

ジュノ・ディアスが書く「究極の雪国──北海道」

ジュノ・ディアスが、冬の北海道について面白い記事を書いている。
 新千歳空港から札幌、白老、ニセコ、小樽と「観光」してあるく記事なのだけれど、最初に、北海道の歴史的立ち位置をしっかり書き込んでいる。つまり、アイヌ民族と和人、さらには明治の近代化のプロセスまでかなり突っ込んだ書き方になっているのだ。

 札幌の時計台からはじまって、札幌ビールの工場を訪ね、ジンギスカンに舌鼓を打ち、おいしい寿司店やススキノの表通り、店の奥まで想像して、と北海道の労働問題まで書こうとする姿勢はなかなか。
 ニセコのスキー場がいまや、オーストラリアの資本が入り、海外からの観光客相手の経済依存を強めていることにも、ちくりと辛口のことばがはさまる。小樽もしかり。写真がいい。

 富士山に似た山の形をした羊蹄山を、たびたび仰ぎ見ながら、林の向こうに透かし見ながら、ディアスの旅はつづく。

 夏や春秋の北海道なら、私自身、あまり反応しなかったかもしれないが、冬のふぶきのなかの北海道の写真には心が躍る。ぞくぞくするのだ。

 雪の北海道。まことに、クリスマスイヴにふさわしい。