Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2015/04/08

アディーチェ新作短篇:アポロ

このところ、せっせせっせとアディーチェの『アメリカーナ』を訳しているのだけれど、ナイジェリアは大統領選挙でついに現役のグッドラック・ジョナサンが負けて、ムハンマド・ブハリが次期大統領と決定した。
 ナイジェリアという国は独立からクーデタにつぐクーデタで、この人もまた80年代の政治情勢変化のなかにしっかり名前が出てくる軍人政治家だ。そう、あのフェラ・クティが逮捕された時期だ。2015年にナイジェリアはどうなっていくのか。

 さて、いま訳している『アメリカーナ』はその80年代にハイスクールに通っていた主人公イフェメルとボーイフレンドのオビンゼを、二つの大きな軸として展開される物語だ。給料の支払いが滞るため大学講師陣がストライキを続け、授業がろくに行われないナイジェリアの大学から一足先にアメリカへ脱出したイフェメル、それを追いかけようとするオビンゼ、ところがそこに異変が起きて・・・。これまた先行きがどうなるのか、、、、、、。

 今日はアディーチェの新作「アポロ/Apollo」が「ニューヨーカー」に掲載されたのでそのお知らせを。新作短篇はひさびさです。この「アポロ」とは、どうやら目の病気のことをいうらしいのだけれど。一人っ子のローティーンの男の子がハウスボーイのラファエルに抱く淡い気持ち。大人になってから、そのときのことを思い出してつづられるメモワールのような切なさ。そして最後の行動はまさに中2病的? いやいや、誰もがどこかでくぐりぬけてきた体験だよね、これ。