

アパルトヘイト(人種隔離政策)が撤廃されて16年、治安の悪さや会場間を陸上移動する手段に未解決の部分は残るものの、何世紀にもわたる人種間軋轢を越えるシンボリックな意味合いの大会開催が人々に何をもたらすか、じっくり見ていきたいものだ。

歴史、人種、エスニシティをめぐるこの国の成り立ちから始まり、ポストアパルトヘイト時代の政治、世界が注目する経済、ダイナミックに変容する社会、底流をなす文化力、日本と南アとの深い関係、アフリカのなかの位置、とこの国に熱い関心を寄せてきた32人が思い思いの切り口で書いている。コンパクトにまとめられた情報は読み物としても面白い。
また、南アフリカの新聞「メール&ガーディアン」のウェブサイトにもうけられた、ワールドカップ特設ページの「news」もお薦め。
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北海道新聞5月25日夕刊のコラムに加筆したものです。