「ええっ!」と思わず声をあげてしまった。享年51歳、あまりにも若い。


『マンゴー通り』のカバーをよく見ると面白いことがわかる。本のなかに登場する人物が、一人ひとり丁寧に描き込まれているのだ。訳文を読み込み、内容にぴたりと沿って絵を描いてくださった。絵のまんなかにスペイン語で「EL BARRIO ES NUESTRO(このバリオはあたしたちのもの)」とあるのは、沢田さんが奮発して、ご自分で書き入れてくださったもの。最初は原著者がどう思うかなあ、とちょっと心配になったけれど、まったくの杞憂だった。
シスネロスさんは2冊つづけて出版された邦訳書を手にして、とても喜び、そのときまでに出た訳書のなかでいちばんお気に入りの装丁です、と手紙をくださったのだ。
『サンアントニオの青い月』を読んだ沢田さんが「聖なる夜」が衝撃的でいちばん印象的だった、とおっしゃっていたと編集者からきいた。訳者にとってそれは、軽い驚きとともに、まだお会いしていないこのイラストレーターの人柄を知るひとつの手がかりとなった。

ご冥福を心よりお祈りいたします。