この国では つつましく せいいっぱいに
生きている人々に 心のはずみを与えない
みずからに発破をかけ たまさかゆらぐそれすらも
自滅させ 他滅させ 脅迫するものが在る*
1971年に書かれた、ある詩人のことばを読む。
30余年後のいま、ありありと思いいたる
ことどもを前にして。
この国を捨てばやとおもふ更衣**
と詠みながら、ついに新たな国境を1度も踏み越えることなく
逝った詩人のことばも思い出される。
もうじき七回忌。
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*茨木のり子
**流火草堂(安東次男)