Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2022/09/01

J・M・クッツェーの短編集『スペインの家──三つの物語』が暮れに出ます!→11月になりました。


すっかりご無沙汰してしまったブログですが、facebook  twitter を見る時間が増えて、気がつくと元気が削がれている。情報は早いし貴重な意見もあるのだけれど、パッチワークのような細切れの情報ばかりだと、変に心がすさんできます。というわけで、バランスを取るために、古巣に戻ってきました。


 訳書としては初訳となる『スペインの家──三つの物語』は、原タイトルが Three Stories、オーストラリアのText Publishing から2014年に出版された、おしゃれで、小さな本です。

 この年、アデレードで11月に開かれたシンポジウム、「トラヴァース、世界のなかの J・M・クッツェー/Traverses: J.M.Coetzee in the World」の2日目に、先行発売されたのをわたしもゲット。そのときのことはここに書きました

 あのシンポジウムからすでに8年、あっという間のようにも感じられますが、その8年のあいだにどれほどたくさんの出来事があったか、とりわけこの土地で(日本で!)起きたことについては、思い出すだけでほとんど目眩がしそうです。

 さて、『スペインの家──三つの物語』には、タイトルの通り三つの物語が入っています。日本語訳のタイトルになった「スペインの家」、そして「ニートフェルローレン」と「彼とその従者」ですが、それぞれにクッツェーらしく、淡々と、それでいてペーソスに溢れ、ノーベル文学賞受賞記念講演「彼とその従者」にいたっては、ロビンソン・クルーソーの話を背後に置いて、と思っていたら、どこへ連れて行かれるのか?という展開で、十二分にひねりの利いた物語になっています。

 白水社から12月に刊行予定です。どんな装丁になるのか、とても楽しみ!