Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2018/12/11

冬の贈り物

 いつもの夕暮れの散歩で見つけた深紅のバラ。
 12月に咲くバラというのも、考えてみると不思議な気がするけれど、今年は季節はずれの暖かさで、植物に異変が起きているというニュースがあちこちから聞こえてくる。

 道路沿いの斜面の樹木のそばに、ひょろりと伸びた枝についていたこのバラの花、隣にはすでに花びらが散ったものがひとつ、ふたつあって、ずいぶん健気に咲いてるなあ、と散歩のたびに思っていた。たぶん、引っ越すことになった人が思案の末に、植木鉢から屋外の斜面に移植していったのだろう。

 すばらしい冬の贈り物。

 暖冬とはいえ、東京も昨日あたりから本格的な冬の訪れが濃厚となってきた。猫たちはどうしているだろう? と思っていると、こんな「猫ハウス」を見つけた。
 発泡スチロールの容器を、蓋を下にして置き、上からブロックで押さえ、側面を出入り口として開けてある。大きな猫なら2匹ほど入れば、猫ハウスは満員になってしまうかな。でも蓋を下にしたところが「コロンブスの卵」みたいに斬新だ。しげみの陰に、ひっそりと置かれている。雨の日や、雪の日のシェルター。

 寒さに負けずに生きぬいてね! というメッセージが伝わってきて、心が温まる。

 この地球上に、なんだかやけに数だけ増えて、傍若無人に森林を伐採し、毒物を垂れ流すニンゲン。でも、これはおなじ生き物である猫へのささやかな贈り物だ。エリザベス・コステロもどきは、世界中どこにだっているんだね。