Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2018/07/21

少女の「静かなたたかい」

北國新聞と埼玉新聞に、サンドラ・シスネロス『マンゴー通り、ときどきさよなら』(白水社Uブックス)のステキな書評が載りました。

 詩は「静かなたたかい」
 少女の「静かなたたかい」

 22年ぶりに復刊されたこの本、現代の日本社会には以前よりもっともっと切実になっているような気がします。移民の問題、難民の問題、ふたむかし前はどこか遠くの出来事のように感じていた人も多かったかもしれないけれど(じつはすぐそこで起きている現実だったんですが)、2018年のいま、だれもが気づく時代になりました。
 だって、ほら、すぐ隣にいるんですから、土俵の上にも、グリーンの上にも、いろんなオリジンをもった人が。街をゆくこの土地生まれの子供が。


 温又柔さんの解説にもあるように、作品のなかでエスペランサに向かって、詩を「書きつづけなければだめよ。書けば自由になれるからね」と病気のルーペおばさんがいったところは、何度読んでも涙ぐみそうになります。


 そう──彼女は「静かなたたかい」を始めたんです。「ひとりで立つために。自由のとびらを開くために」──書いてくださった田村文さん、どうもありがとうございました。森佳世さんのすてきなイラストもついていて、復刊書なのに立派な書評あつかいです。こんなに嬉しいことはない。

この「本の世界へようこそ」は、14歳くらいの読者を想定したシリーズで、共同通信の配信です。