E. Costello : I believe in what does not need to believe in me.──J. M. Coetzee

2013/12/03

『サマータイム』に出てくるミュリエル・スパークとウィリアム・トレヴァー


 最近出た面白そうな本に『バン、バン! はい死んだ』(河出書房新社)というのがあって、その著者がミュリエル・スパークと知ったときは、気持ちが小躍りしました。というのは、この作家の名前が、クッツェーの自伝的三部作のなかに出てくるからです。

 三部作の最後『サマータイム』の第一章「ジュリア」には、ジョンと浮気をしていたことがばれてしまい、夫と大げんかするジュリアという女性が出てきます。かっとなって家を出て、とりあえずショッピングをして、近くにあるカンタベリー・ホテルに車で乗りつけて、部屋をとります。一日目は、自分は自由になったのだと意気揚々でしたが、二日目の夜ともなると気持ちは落ち込み、ホテルのレストランでひとり採る食事もさえない味。舌平目のベシャメルソース。さて、どんな人がこのホテルには・・・

 「その夜はカンタベリーの哀れをそそる食堂=サラマンジェで夕食をとり、初めて、自分が泊まり合わせた宿泊客を一瞥しました。ウィリアム・トレヴァーやミュリエル・スパークの本からそのまま抜け出してきたような人たち。でもわたしだって彼らの目にはきっと似たり寄ったりに見えていたでしょうね──気まずくなった結婚生活から一瞬頭に血がのぼって逃げ出してきたやつかと」──J・M・クッツェー『サマータイム』より

 ウィリアム・トレヴァーはここ数年、何冊も翻訳が出たアイルランドの作家です。名もない人たちの、それとない行動や人生を情感ゆたかに描く作家ですが、スパークというのは有名ながら、あいにく食わず嫌いだったので、これを機会に読んでみようかなあと。
 それにしても、この二人の作家の名前を見たときは、思わずクスッとなりました。

 そのクッツェーの三部作、そろそろ分厚いゲラになって手元にくるころです。クリスマスもお正月もない? 今年もまた? う〜ん。。。。。