ゾーイ・ウィカムの『David's Story/デイヴィッドの物語』の翻訳もだんだん佳境に入ってきました。
今日、訳していたところに出てきた、ナマクワ・デイジー/Namaqua daisy という花はどんな花かしら、とグーグル検索してみると、あるわ、あるわ、ごつごつした岩の多い渇いた土地に根をはる花たち、干割れた地面からひょっこり顔を出す茎の短い花、真っ青な空に咲き乱れるデイジー、またデイジー、夕陽をバックに撮影した美しい花影。
ナマクワランドというのは、現在の南アフリカは西ケープ州北部あたりをさす地名です。
クッツェーの最初の小説『Dusklands/ダスクランズ』の後半におさめられた物語(時代は18世紀)が舞台となった場所でもあります。これは破廉恥な探検をした人物、それを文章にした人物、それをまた訳した人物、と入り組んだ仕掛けをこらしてはいるけれど、話の中身はまことに壮絶! クッツェーの歴史観を知るうえでも、彼のその後の作品群がどのような脈絡のなかで書かれてきたかを俯瞰するためにも、必読の作品です。
そう、ナマクワランド。
先住民のコイサン人がむかしから住んでいた土地、だんだんヨーロッパ系の人間が入っていって彼らを追い出していった土地。グレイトカルーと呼ばれる広大な半砂漠地帯。
『デイヴィッドの物語』は2000年暮れに発表された作品で、先住の人びととヨーロッパ系入植者、さらには中央アフリカから南下してきたバンツー系のブラックたちとの関係が、19世紀と20世紀を行き来しながら、物語として展開される、サスペンスドラマみたいな小説です。
もちろん「デイヴィッド」がクッツェーの『恥辱/Disgrace』の主人公の名前であることはとても重要。もうひとつのデイヴィッドの物語としてウィカムは書いている。つまり、作品どうしが響き合っているのです。
命をかけた彼らの解放闘争を縦糸に、褐色の肌をし、東洋人のような切れ長の目をした彼/彼女らグリクワ民族の歴史を横糸にして織りなされる繊細かつあざやかな、じつにスリリングな物語です。乞うご期待!
今日、訳していたところに出てきた、ナマクワ・デイジー/Namaqua daisy という花はどんな花かしら、とグーグル検索してみると、あるわ、あるわ、ごつごつした岩の多い渇いた土地に根をはる花たち、干割れた地面からひょっこり顔を出す茎の短い花、真っ青な空に咲き乱れるデイジー、またデイジー、夕陽をバックに撮影した美しい花影。
ナマクワランドというのは、現在の南アフリカは西ケープ州北部あたりをさす地名です。
クッツェーの最初の小説『Dusklands/ダスクランズ』の後半におさめられた物語(時代は18世紀)が舞台となった場所でもあります。これは破廉恥な探検をした人物、それを文章にした人物、それをまた訳した人物、と入り組んだ仕掛けをこらしてはいるけれど、話の中身はまことに壮絶! クッツェーの歴史観を知るうえでも、彼のその後の作品群がどのような脈絡のなかで書かれてきたかを俯瞰するためにも、必読の作品です。
そう、ナマクワランド。
先住民のコイサン人がむかしから住んでいた土地、だんだんヨーロッパ系の人間が入っていって彼らを追い出していった土地。グレイトカルーと呼ばれる広大な半砂漠地帯。
『デイヴィッドの物語』は2000年暮れに発表された作品で、先住の人びととヨーロッパ系入植者、さらには中央アフリカから南下してきたバンツー系のブラックたちとの関係が、19世紀と20世紀を行き来しながら、物語として展開される、サスペンスドラマみたいな小説です。
もちろん「デイヴィッド」がクッツェーの『恥辱/Disgrace』の主人公の名前であることはとても重要。もうひとつのデイヴィッドの物語としてウィカムは書いている。つまり、作品どうしが響き合っているのです。
命をかけた彼らの解放闘争を縦糸に、褐色の肌をし、東洋人のような切れ長の目をした彼/彼女らグリクワ民族の歴史を横糸にして織りなされる繊細かつあざやかな、じつにスリリングな物語です。乞うご期待!