Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2020/02/09

Happy Birthday, John Coetzee!

お誕生日おめでとう、ジョン!

A BOOK OF FRIENDS
J.M.クッツェーは今日で80歳になる。

 2020年2月9-10日に南アフリカの東ケープ州グレアムズタウンで、J・M・クッツェーの80回目の誕生日を祝うイベントが行われる。そのことはここでも書いた。いまごろ、いや時差を考えると、もうすぐ始まるのだろうな。
 それにちなんでジョン・クッツェーの友人たちが文章を寄せた本も、メルボルンのTex Publishing から出る。
 A BOOK OF FRIENDS:In Honour of J. M. Coetzee on his 80th Birthday。編者はパートナーのドロシー・ドライヴァー。


 そしてもう一冊、これはすでに出版されている興味深い本がある。
 ジョン・クッツェーは少年時代、写真家になりたいと思っていた。本気で職業として考えていた。カレッジ時代にカルティエ・ブレッソンにあこがれ、ヴェガのカメラを郵便で注文して購入し、自宅に暗室まで作って現像や引き伸ばしをやっていた。母親ヴェラや弟デイヴィッドの写真、学校の教師である修道士たちをスパイカメラでこっそり撮った写真、ラグビーやクリケットに興じる生徒たちの写真、フューエルフォンテインの大晦日、農場で働いていた人たちの写真など、『少年時代』を読んだ人には、ああ、これがあのときの……と興味はつきないだろう。きわめつけは何枚もさまざまな角度から撮影された自撮りのポートレートだ。

 2014年にケープタウンのフラットを処分するとき見つかったその写真類(といっても多くはネガフィルムの状態)や機材が、そっくりウェスタンケープ大学のヘルマン・ウィッテンバーグに託された。詳しいことは3回に分けてここに書いた。ロンデボッシュのギャラリーで展覧会が開かれたり、イギリスの大学などでイベントにも展示されたりしてきたけれど、その写真類がついに本になった。

 J. M. Coetzee: Photographs from Boyhood

 ウィッテンバーグが序文をつけて、クッツェーが自伝的三部作『少年時代』から引用しながらキャプションを書き、インタビューもついている。英語版は Protea というプレトリアにある出版社から出たが、オランダ語版、イタリア語版、スペイン語版も出るとか。
 
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それにしても、今年もまた東ケープ州は旱魃に悩まされてるらしい。もう何年も雨らしい雨が降らないという。
https://www.afpbb.com/articles/-/3265677