Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2019/04/21

ストラヴィンスキー:高橋悠治と青柳いづみこ

高橋悠治と青柳いづみこのピアノ連弾。ストラヴィンスキーの「春の祭典」と「ペトルーシュカ」から。撮影、編集は大塙敦。



あまりにおもしろい、というか、興味深いやりとりなのでここに貼り付けておく。撮影は2017年。YouTubeへの公開は昨日。

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以下は青柳氏のことばからの引用。

この動画は、2年前にラ・フォルジュルネで「春の祭典」を弾いたとき、レコード会社のアール・レゾナンスが撮影したリハーサル風景がもとになっている。

高橋さんとは楽譜の読み方などで意見がくい違い、しばしば衝突したものだが、このときも言い合いになり、撮影隊も譜めくりさんも青ざめるシーンがあった。
今となっては、どうしてそうなったかよくわかる。普通のクラシック教育を受けてきた私は、一般的なデュオがそうであるようにすべての融合を求め、もう少し広いフィールドに身を置く高橋さんは、各パートの独立を求めたゆえなのだが、当時は意味がわからなかった。
たとえばプリモが旋律を奏でて、セコンドがリズムを刻む場面、プリモはもっと旋律に寄り添う伴奏をしてほしいと思い、セコンドは、伴奏に関係なく歌ってほしいと思っていたのだから、衝突するわけだ。
アンサンブルで「合わないほうがいい」なんて初めてきいたけれど、のちにジャズ・ピアニストの高瀬アキさんが同じことを言っていらしたのでびっくりした。