Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2019/01/04

誰の寵児にもならぬがよい

Be Nobody's Darling      by   Alice Walker


誰の寵児にもならぬがよい
除けものでいるのがよい
おまえの人生の
矛盾を
ショールのようにして
身を覆うがよい
石つぶてを避けるために
からだが冷えぬように

……
……
……

口にした
勇気ある痛烈なことばのために
数知れぬ者たちが死に滅んだ
川岸で
陽気なつどいをもつことだ

誰の寵児にもならぬがよい
除けものでいるのがよい
死者とともに
生きる資格をもて



朝日新聞社刊 1982
アリス・ウォーカー『メリディアン』(朝日新聞社、ちくま文庫、高橋茅香子訳)の解説「衰弱と再生」で引用されている詩で、藤本和子さんの訳です。ウォーカーの第二詩集『革命的ペチュニア』に入っている詩篇。

『塩を食う女たち』北米黒人女性の聞書集(岩波現代文庫)が多くの人から歓迎されているのは、作品のもつことばの力ゆえでしょう。でも、60年代の公民権運動の果実はほかにもあって、なかでもお薦めはアリス・ウォーカーの『メリディアン』。ピューリッツァー賞を受賞して映画化された『カラー・パープル』も有名ですが、じつは一作前の『メリディアン』がダントツにすばらしいんです。
 この作品で、ウォーカーは運動のなかの「暴力」について徹底的に自問しながら、白人、黒人のカラーラインを超えて仲間と対話する人物たちを登場させます。
 解説を書いている藤本さんの文章がまた、比類なきすばらしさ。ここで全文が読めますので、ぜひ!

 この7巻本の解説も、ぜひ1巻のアンソロジーとして復刊させたいと思っているのですが.......!!!!