Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2019/01/31

アディーチェ:「アフリカの作家」の意味するもの

 今日はチママンダ・ンゴズィ・アディーチェが2018年10月にPEN Pinter Prize を受賞したときのレクチャーを聴きました。これで何度目かな? と思いながら聴いたのですが、このレクチャーで彼女はある質問をとりあけます。

──Are you an African writer? あなたはアフリカの作家ですか? あなたはアフリカ人作家ですか? 



 これまで何度か質問されてきたけれど、かならず仲間のアフリカ人から出てくる質問だというのです。この「アフリカの作家」という表現に質問者がどんなニュアンスを込めているかアディーチェは詳細に分析していきます。

 ささやくように、もちろんわたしはアフリカ人作家よ、とアディーチェは自分にいいながらも、アフリカ人からのそんなあからさまな質問に対して、あえて「No」と答えます。その意味するところは? アディーチェのような作家がどういう位置に立たされて書いているか、書いてきたか、どんな圧力に抗して自分に正直であろうとして書いているか、このスピーチを聞くとその複雑な背景がわかります。そう、彼女がいま書いている現場のコンテクストがわかるのです。

 作家と作品、作家であることと市民であること、その関係が西欧とアフリカでは歴史的に、社会的な文脈で見たときどう異なるか、そんな細部が浮上します。

 講演のフルテクストは1月9日にNew Statesman Americaにアップされました!