Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2012/05/18

We Need New Names──ノヴァイオレット・ブラワヨの初小説

2011年のケイン賞受賞者、ジンバブエ出身のノヴァイオレット・ブラワヨ/NoViolet Bulawayo の初めての小説「We Need New Names」の出版権をChatto が獲得、というニュースが流れた。
 
 ケイン賞を受賞した短編「Hitting Budapest/ブダペストやっつけに」はパラダイスという地区に住む6人の子どもたちが、旋風のように通りを駆け抜け、グアヴァの実がなっていて、別の国みたいで、あたしたちみたいじゃない人が住んでいる「ブダペスト」をめざす話だった。バスタード、チポ、ゴッドノウズ、シボ、スティナ、それに、あたし。名前からわかるように、半端じゃなく過酷な生活をおくっている、この子どもたちのやりとりがまたすさまじい。まだ幼いのに妊娠している女の子までいる。旋風というのはその文体にもあらわれていた。すごくさらさらと読ませながら、こぼれおちた子どもたちをありありと描き出す文体なのだ。

 そのノヴァイオレット・ブラワヨの小説が来年でるらしい。『あたしたち、新しい名前が要るの』「パラダイス」(なんと皮肉な!)に住む子どもたちの野心をぴったりあらわしているようなタイトルだが、さあ、どんな物語だろう、楽しみだ。

 ブラワヨとはジンバブエの都市の名で、イヴォンヌ・ヴェラが住んでいたところだ。このペンネームには(前にも書いたかな?)大先輩の作家へのオマージュが込められているのだろうか。

 そうだ、あのジュノ・ディアスが 'I knew this writer was going to blow up. Her honesty, her voice, her formidable command of her craft—all were apparent from the first page.' といった作家だということも忘れずに書いておこう。

 アフリカ大陸からどんどん若い書き手が出てくる。