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いまの時期、田んぼの畦の草はどんどんのびる。牧草地の草は、毎日ちがう場所に山羊の鎖の先端を打ち込んでおけば、その杭を中心にしてまあるく山羊が食べてくれるので、刈る必要はなかった。
東京に出てきてから、しばらく隣人たちと畑を借りて、無農薬野菜を作っていたことがある。80年代の話だ。子どもがまだ小学生のころで、ほうれん草は冬に灰を周囲に敷いてやるとか、霜の降りそうなころになると白菜はすっぽり新聞紙にくるんでやるとか、東京にいながら野菜作りをほんの少し体験したことになるけれど、さあ、はたして覚えているかどうか。彼女たちは隣人が飼っている犬や猫ばかり追いかけまわしていた。
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湘南の知人の田んぼの光景をまた、借りることにした。草刈り鎌と、きれいに刈られた畦の草。下の写真は蓮の花だ。稲はすくすくと育っている。