Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2008/12/17

アフンルパル通信

北海道という北の少し大きな島のなかの、いちばん大きな都市サトポロの郊外に「トヨヒラ」という土地がある。
 そこに住む若い出版人が「アフンルパル通信」という、とても不思議なかたちの小冊子を刊行している。すでに6号まで出ている。
「アフンルパル」というのはアイヌ語で、意味は・・・さあ、調べてみてほしい。ちょっと怖い話だよ。

 北海道は旧植民地だった。まちがいなく「植民地」だった。私はアイヌ語で「トップ」と呼ばれていた土地で生まれ、そこで育った。入植者の末裔、とまではいかないけれど、祖父母の代が入植者だった人間である。このことときちんと向き合うために、ずいぶん長い時間と準備が必要だった。長い、長い、机上の旅が必要だった。アフリカまで行ったのだから。

 さて、その日本国内の旧植民地、つまり私の「故郷」でもある北海道との抜き差しならない confrontation がもうすぐ始まろうとしている。そんな気がする。この「アフルンパル通信」はその契機になるだろう。
 第6号に掲載されている、管啓次郎さんの詩「AGENDARS 13」がまたいい。