花曇りの夕方ちかく、クッツェー三部作の再校ゲラを読了し、長い解説もほぼ完成したので、ぶらりと散歩に出た。
あちこちで姫林檎が咲いている。山吹も咲き出した。
もちろんチューリップはいまを盛りと咲いてはいるけれど、今日の気温に花びらをしっかり閉じているようすが、コーンに盛りつけたアイスクリームのよう。
遠くから撮っているうちは、こちらを無視していたが、少しだけ近づくと、そそくさと柵の向こうへ姿を消した。
彼ら彼女らのなわばりだ。
見ると、ふたつのベンチのあいだにふわりと空から垂れ下がるようにして、たくさん花をつけたアメリカハナミズキの枝が。ほら、見て見て、こんなに花をつけているよ、とこちらに向かって、まるでおじぎでもしているように咲いていた。