Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2014/04/19

花曇りの午後に

 桜が終って、日に日に若葉が緑を濃くしていくこの季節。杉花粉も少しおさまってきたような気がする。ほっとする時期だ。レッドロビンの赤が鮮やか。

 花曇りの夕方ちかく、クッツェー三部作の再校ゲラを読了し、長い解説もほぼ完成したので、ぶらりと散歩に出た。

 あちこちで姫林檎が咲いている。山吹も咲き出した。
もちろんチューリップはいまを盛りと咲いてはいるけれど、今日の気温に花びらをしっかり閉じているようすが、コーンに盛りつけたアイスクリームのよう。

 ユキヤナギはもう終わりかな、薄いピンクのグズベリの花も散ったな、なんて思いながら歩いていくと、駐車場に薄茶色の不器量な猫が一匹、不機嫌そうな顔をして座っていた。
 遠くから撮っているうちは、こちらを無視していたが、少しだけ近づくと、そそくさと柵の向こうへ姿を消した。
 彼ら彼女らのなわばりだ。
 
 この辺は夜になると、狸をよく見かけると家人たちが言っていたっけ。
 見ると、ふたつのベンチのあいだにふわりと空から垂れ下がるようにして、たくさん花をつけたアメリカハナミズキの枝が。ほら、見て見て、こんなに花をつけているよ、とこちらに向かって、まるでおじぎでもしているように咲いていた。