Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2014/02/09

Happy Birthday, John!──東京は雪です!

今日はジョン・マクスウェル・クッツェーの、74歳の誕生日。オーストラリアは夏。アデレードの今日の気温は25度。真っ白に雪化粧した東京は5度だ。

『少年時代』(1997)、『青年時代』(2002)、『サマータイム』(2009)を一巻にまとめた三部作のゲラを見ている。400字詰め原稿用紙にして約1500枚。少年ジョンが生きた南アフリカの1940年代から50年代という時代。ロンドンへ出ていったプロヴィンシャルの/田舎者の青年ジョンが志したアーティストへの道、日々の糧をえるためにした仕事、都会の孤独な生活で誰かと会話することさえないまま終る日々、そこから脱して米国へ渡り研究職につくものの、結局は南アフリカへ逆戻り。そして最初の小説『ダスクランズ』を発表する1970年代半ばまで。

虚構と事実の渾然一体となった作品には、J・M・クッツェーという作家が誕生するまでの内的プロセスを伝える、そっけないほど飾りのない、硬質な、宝石のようなことばがならんでいる。あるいは他者が外側から見たらこうだっただろうと想定したときの、情け容赦ない、強烈なことば。

 一方、2012年に出版されたJ・C・カンネメイヤーの伝記『A Life in Writing』には、この三部作と照らし合わせると、何が「事実」で何が「虚構」かが透かし見える、驚愕するような事実が書かれている。

 ジョン・クッツェーの三部作をもうすぐ日本語でお届けできるのが嬉しい。

 苦手な花粉の季節ではあるけれど、今日は雪で、花粉たちもやや鳴りを潜めている。雪道をざくざくと踏みしめながら、投票場まで足を運んだ。今日は、都知事選の日なのだ。
 クッツェー・ファンの方たちも、今日だけは「マイケル・K」にならわずに(笑)、投票場まで足を運び、せめて、マイケルにはあたえられていなかった「投票権」を行使しよう!!