Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2020/11/08

米副大統領にカマラ・ハリスが

  ここ数日、メディアを独占してきた感のあるアメリカの大統領選挙も、どうやら結果が見えて、民主党のジョー・バイデンが次期大統領になることが確実になりました。なかでも副大統領がカマラ・ハリスという「黒人女性」であることは非情に重要です。お父さんがジャマイカ系移民の経済学者、お母さんがインド系(タミル系)移民の乳がん研究者です。母方のお祖父さんが外交官だそうです。


 アメリカの悪名高い「血の一滴」理論では「黒人」に分類されるわけですが、ハリスはすでに司法界で長い実績を持ち、2016年からは上院議員でもある。バイデンが今月20日で78歳になるのにたいして、1964年生まれで56歳になったばかりのハリスは、まだまだこれから活躍できる人ですから、ひょっとすると4年後に82歳になるバイデンから途中でバトンを渡されるかもしれない。となると米の政治史上初の、黒人の、アジア系の、女性の大統領の誕生です。

 もっぱら、そんなことを考えながら秋の日を過ごしています。


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もう一つ備忘のために書いておきたいのは、ジョー・バイデンのパートナーであるドクター・ジル・バイデンはこれからもずっと教師としての仕事を続けると明言していることです。69歳の彼女、オバマ政権時代に夫が副大統領だった期間も、教職を続けてきたというのです。ワーキングウーマンがファーストレディになる、これもまた米国の大きな変化の一面でしょう。詳しくは:https://www.vogue.com/article/dr-jill-biden-first-lady-history-working-women

米国の白人エリートたちが見えなかったこと、それをトランプという人が大統領になったことで暴露されたことの重要性もまた、ゆっくり考えたいところです。ひるがえって、この8年間に暴露されたこの国の「真相」をどこまで見定めていけるのか、われわれは試されていると思います。