Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2020/07/23

朝顔の大輪がいっぺんに

梅雨入りしたのはいつだったのか? と日記をぱらぱらめくってみると、6月11日に「梅雨入り」と赤字で書いてある。

 それから一月半ほどすぎたけれど、まだ明けない梅雨。昨夜から今日にかけて強い雨が降ったりやんだり。雨音の強弱に耳を澄まして眠ったり、ふと目がさめたり。

 今朝は強い雨音がして、起き出してみるとベランダで朝顔の大輪が、なんと、6つも咲いていた。

そんなに一気に咲かなくてもいいのに──きれいとか、見事といった感想の前に、ゆっくり一輪か二輪ほどで咲いてほしいのに──と勝手につぶやいてしまう。

 バスや電車に乗って遠出することはもちろん、友人と飲み会さえできない生活のなかに閉じ込められて、いまでは目を楽しませてくれるものといえばベランダの朝顔くらいしかないのか、と気がつく。だから、いっときに6輪も咲いて午後にはしぼんでしまう花に、勝手な注文をつけたくなる。


春先に植木鉢に新しい土を入れたせいか、今年の朝顔は葉っぱ一枚一枚がとても大ぶりで、花もまた大きい。蔓の勢いもすごくて、脇からつぎつぎと新芽が出て、どんどん蔓を伸ばしていく。ベランダの天井にぶつかった蔓は朝の光の指す方向へ向かって伸びるので、隣家のベランダまで侵入していく。少し引き戻したところ、だらりと下に垂れてから、また上に向かって竿のまわりでぐるぐると蔓を巻いていく。このやりとりが、おもしろいったらない。

 雨が降っても鳥は啼く。でも、いつのまにか鶯のペアの声が聞こえなくなった。いまは、にぎやかなガビチョウの声。数種類のセミの声も、ちらりほらりと。