エスペランサの部屋
esperanza's room by Nozomi Kubota
2010/08/31
8月の終わりに
昼なかの蟬しぐれもはたとやみ、それでも、ちょっと遅れてやってきたのか、一、二匹、じっとりとたたずむ木立の樹皮に、いっときの足場をもとめて、思い出したように鳴いている。
8月も今日で終わり。酷暑は収束する気配すらない。それでも、夜は虫の音がすずやかに耳にとどきはじめた。こもれ陽のなかを抜けると、ひろがる緑のなかにちらほらと色づく黄色。
地を蹴って走る足は、ついに昇りきることのなかった黄色い太陽を追いかけてゆく。
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