Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2009/08/27

アシャ/ASA──ナイジェリアから飛び立った小さな隼

さあ、今年75歳のムスタキおじいさんが続いたので、この辺で思いっきり若手に登場してもらいましょう。

 アシャ/ASA。

1982年生まれというので、今年まだ27歳です! 生まれはパリですが、両親はヨルバ系ナイジェリア人で、小さいときにすぐナイジェリアに戻って、ラゴスで育ったそうです。で、おもに英語で歌っていますが、音楽活動の拠点はパリ。運命みたいなものを感じるとか。

 とにかく、すっごくいいです。オフィシャルサイトに行くとすぐかかるのが、初アルバム「ASA」の最初の曲、「Jailer/看守」。それで思い出したのは、マジェク・ファシェク/Majek Fashek の1990年のアルバム「Prisoner of Conscience」です。あらためて、ナイジェリアの音楽ってものすごく層があついのを感じます。

 アルバムジャケットの写真が、眼鏡をかけてわめいているようなショットなので、一瞬、引きましたが、YOUTUBE で歌ってる映像を見て、うーん、これはすごい、と思いました。ひさびさに「参りました」。ちょっとトレイシー・チャップマンを思い出させるところがありますが、もっともっとのびやか。でも、歌はね、そうねえ、エムリン・ミシェルとも違う、チオニソとも違う。ことばの意味がストレートに伝わってきます。語りの調子が、しぶいです。良いです。

 おなじナイジェリア人のチママンダ・ンゴズィ・アディーチェが1977年生まれですから、アシャより5歳ほど年上ですが、現代の若い歌姫アシャを聞きながら、『半分のぼった黄色い太陽』を訳すのもいいかな〜なんて。
 とにかくお薦めです。

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付記:いやいや、ちょっと調べたら、アシャは昨年来日していました。日本語のオフィシャルサイトもありました! インタビューも出てきました。すごい人気なんですねえ。