ふらりと散歩に出ると目に飛び込んでくる、赤、紅、橙、黄、浅緑、深緑、濃茶など、あざやかに色づく樹木たち。今年は紅葉がじつに美しい。目から胸に、その奥に、深々と染みる色たち。そして今日、すてきな本がとどいた。
『翔び立つ女たち コレット・ドゥブレ淡彩画集』
美しい。予告がでたときから心待ちしていた本だった。
フランスの画家コレット・ドゥブレ Colette Debléは1944年1月8日生まれだから、現在81歳。美術にうといわたしは初めて知る名前で、こうして画集となった絵も初めて見るのだけれど、なぜか、これ、好き、この透明な色合い、知ってる! と思うのだった。勝手な思い込みであることは重々承知で、そう言いたくなる衝動を抑えきれない。ラヴィLavis(淡彩画)というジャンルだそうだ。
最近は屋外で本の写真を撮ることもなくなっていたのに、これは冬の夕暮れ間近かのベランダで、パチリ、パチリ、パチッ!と素人写真を撮った。中身も1枚だけ。作品は右ページに、元になった絵が左ページにあって、これも絶妙。デューラーの「メランコリア」もあったり。ちなみに右の写真の見開きページの元の絵はフランソワ・ブーシェの「ユピテルとカリスト」。
カバーの折り返しに引用されていることばを少し。
美術史のなかの女性の表象をめぐる造形的なこころみ。
枠から出た女性たちを見ること。
この本に使われた原画が神保町のギャラリーで展示される予定だなんて、いまからワクワクしてしまう。どれほど美しい本か、実物にまさるものはないので、ぜひ書店で手に取ってみてほしい。11月20日発売です。