今回もまた、まず最初に出版されたのはスペイン語版だ(写真右)。タイトルは Don de Lenguas(言語の贈り物)。
最近、JMクッツェーは英語より4ヶ月ほど先にスペイン語訳を出版する。表紙にはクッツェーとディモプロス、そしてそのあいだにこちらに背を向けた男性が写っている。でも、よくみるとこれは彫像。おそらくプラド美術館で撮影されたもだろう。
共著者のMariana Dimópulos はクッツェーの最新長編小説『ポーランドの人』を翻訳したアルゼンチンの人で、スペイン語版 Don de Lenguas の翻訳者としては Esther Coross の名前が記されている。つまりクッツェーとディモプロスのやりとりは英語だったことがわかる。
数日前に出版されたばかりの英語版 Speaking in Tongues (米国版)が届いた(写真左の赤い表紙の本)。そこで2冊ならんでいただいて、写真におさめた。2冊をぱらぱらめくってみると英語版にはエピローグがある。これはスペイン語版にはない。But that which is native to us needs to be learned just as well as that which is foreign. ──Friedrich Hölderlin
ヘルダーリンだ!なるほど!わたしもまた東京に出てからニホンゴを学びなおしたんだったなあ。いまだに学習の途上にいる。
2025.5.10 |
1.The Mother Tongue
2.Gender
3.Translating "The Pole"
4.Words
フロイトはクッツェーが若いころから読み込んで、引用も多い心理学と精神分析の、超がつく有名な学者・医師だけれど、クッツェーの講演ではそのフロイトが自分のことを語っていないと述べたらしい。「らしい」というのはドイツ語の記事をグーグル翻訳にかけてざっくり読んだだけなので、そんな表現をせざるを得ないのだけれど。これはなかなか興味深い。