Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2024/03/07

アブドゥルラザク・グルナ『楽園』(白水社)の書評とエッセイ

忘れないうちに記録しておきます。

少し前になりますが、 2月17日付日経新聞朝刊にアブドゥルラザク・グルナの本邦初訳『楽園』(粟飯原文子訳、白水社)の書評を書きました。(左の写真は、白水社のXのTLから拝借。)

東京新聞のリレーコラム「海外文学の森へ」にも、エッセイ風にこの『楽園』について書きました。

日経新聞ではもっぱら本の内容紹介と、誰の目線で「アフリカ」を書くかに焦点を当てましたが、東京新聞ではグルナがノーベル財団から受賞の知らせを受けた時のエピソードや、この作家が作品を書くときの姿勢について触れ、結びを次のようにしました。

 ──ネットで視聴できる動画「インド洋の旅」でグルナは、自分が作品を描くことは制圧者により乱暴に要約されてきた「我々の複雑で小さな世界」を再構築する営みだと語る。

 1994年に発表されてその年のブッカー賞最終候補になった『楽園』は、作品として特別実験的な試みをするといった仕掛けなどはありませんが、淡々とした文章のなかにめくるめくスワヒリ社会の多様性が描かれていて、つい、メモをとりながら読みました。

 わたしにとってスワヒリ社会はほとんど未知の世界。いろんな人が耳慣れない名前で登場するため、これは「登場人物一覧」があると便利だなあと思いながら読んだことも書いておきます。

白水社から刊行された『楽園』でスタートしたグルナコレクションは、まだこれから3冊も続くそうです。とっても楽しみ!