Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2023/05/04

翻訳作業備忘録(2):J・M・クッツェーUS版『ポーランドの人』

 日本にいる読者が、ネットショップなどで最初に入手しやすい英語版の『ポーランドの人/THE POLE』は、USのLiveright社から出版される。

 これまで米国では、クッツェーの本はずっとViking社から出版されていたが、今回から Norton という、ちょっと懐かしい名前の入った系列の出版社へと変わった。発売は9月の予定。

 先日そのアドヴァンスコピーが届いた。ザックリしたざら紙に印刷されたパルプフィクションふうの作りで、表のカバーに「ADVANCE READING COPY/NOT FOR SALE」とある。ひっくり返して裏を見ると「ADVANCE UNCORRETED PROOFS」とあって、まだこれから修正が入るということがわかる。開くと、確かに、ポーランド語のドットや修飾記号が未修正のままだ。ポーランド人女性のファミリーネームJabloṅska も「n」の真上にドットがついていない。「n'」のように、アポストロフィーっぽい位置についている。

 3月下旬に一行一行、全面的に照合したテクストはこれで、作家から「修正リスト」なるPDFがさらに送られてきたのだった。

 日本語版の編集・校正などは既に翻訳者の手を離れた。微妙な細部をつめるやりとりも今日、つい先ほど終わった。あとは入稿されて、印刷されて、製本されて、出来上がりを待つばかり。みほんが届くのが楽しみ! 発売は5月30日(白水社)だが、ネット書店などは6月1日になっている。

 どんなアートワークになったかって? とっても素敵なカバーになりました。楽譜の写真も使われて。それもショパンじきじきの手書きの楽譜です。どうぞご期待ください。

 とりあえず、連休半ばのご報告です。