Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2023/01/07

J・M・クッツェー『ポーランドの人』絶賛翻訳中

 今年の初仕事はやはりJ・M・クッツェーでした。3日から、翻訳中の『ポーランドの人/The Pole』の訳文見なおしをコツコツ進めて、今日7日にほぼ目処がつきました。

 昨年中に、3月に出るオランダ語版 De Pool と5月に出るドイツ語版 Der Pole の情報がアップされ、昨年暮れにはオーストラリア英語版の情報もシドニー・モーニング・ヘラルドとオーストラリアンの二紙に出ました。英語版は7月にText Publishing から出るようです。

 コッセ出版から出るオランダ語版の表紙が渋いこと! 左の木版画です。髭を蓄えた男性がピアノに向かっていて、白黒世界のはずが、燭台の2本の灯りだけ黄色く色がついています。

 これを見た友人が「あ、これはヴァロットン!」と教えてくれました。調べてみると現在、東京でヴァロットンの展覧会が開かれているんですね。29日まで。ヴァロットンとは、19世紀末から20世紀初頭にかけてパリを中心に活躍した、スイス生まれの版画家・画家だそうです。

 ネット上に最初に出たのがフィッシャー社のドイツ語版の表紙でした。絵柄は、室内から黒っぽいカーテンがかかった窓ごしに、どこか地中海沿岸の田舎を思わせる風景です。バルセロナ? それともやっぱりマヨルカ島かな、それとも、それとも……

 物語の舞台はおもにバルセロナ、マヨルカ島、そしてワルシャワです。多出するヨーロッパ言語の人名、地名などの固有名の読みを確認すること、それが今後の課題。スペイン語、イタリア語、ラテン語、ポーランド語、ロシア語などいろいろ出てくるところが、クッツェーらしい。

初夏には日本語版で読めるよう奮闘努力の最中です。