2017/03/16

デイヴィッド・アトウェル著からの切り抜き帳(1)

 来週末のデイヴィッド・アトウェル氏の講演会まで、何回かに分けて、彼の近著、 J.M.Coetzee and the Life of Writing, 2015, Viking から気になる箇所を抜き出して紹介する。この本はJMクッツェーにケープタウン大学大学院で教えを受けたアトウェル氏が、クッツェー作品をその生成過程に肉薄して解き明かした本で、本当に面白い。

 これまで『マイケル・K』『少年時代』『鉄の時代』『サマータイム、青年時代、少年時代』『ヒア・アンド・ナウ』と訳してきた者にとっては、なんとなくわかっているが確信がもてないことをいろいろ質問できる絶好のチャンスでもある。予習、予習! 再発見としては、たとえばマイケル・Kについて、今日もこんな記述を見つけた。


More than any other character in Coetzee’s fiction, K embodies a capacity to survive the nightmare of history. It is not fanciful to suggest that by the time Coetzee wrote Michael K, the Karoo had become an essential part of the substrate of his creativity, a key element in his poetics. ──David Attwell, J.M.Coetzee and the Life of Writing, p54.
クッツェーのフィクションに登場する人物のなかで、Kほど歴史の悪夢を生き延びるための素質を体現している者はいない。クッツェーが『マイケル・K』を書くころには、カルーこそが彼の創造性の根幹をなす基本部分となり、彼の詩学を解くための重要な鍵となっていた。