2006年版ペーパーバック |
アフリカ諸国が次々と独立する1960年に、ベルギー領コンゴもまた独立。初代大統領にパトリス・ルムンバが選出された。だが、カタンガ州の鉱物資源の利権をめぐる権力闘争ゆえに暗殺された。『ルムンバの叫び』という映画にもなった。つい最近もこの暗殺にCIAとベルギー政府が絡んでいたことが明らかになったばかりだ。
コンゴ事情を知るために三浦記者が参考資料としてあげている、藤永茂著『『闇の奥』の奥』(三交社、2006)は、出版されたときすぐに読んだ。だが、残念でならないのは、この本を書く動機になったというアダム・ホックシールドAdam Hochschildの名著『レオポルド王の亡霊/ King Leopold's Ghost, A Story of Greed, Terror and Heroism in Colonial Africa』(2006アップデート版)が日本語に翻訳されていないことだ。当時、企画会議にかけた出版社もあったと伝え聞くが、出版にいたらなかったのは日本の読者にとっても残念極まりない。
なぜなら『レオポルド王の亡霊』という本は、現在のコンゴがなぜあのような国でありつづけるのか、レアメタルをめぐる紛争と筆舌に尽くし難い女性への性暴力の根幹を知るための必読書といえるからだ。ノーベル平和賞を受賞したムクウェゲ医師のところで止まらずに、いまからでも遅くないので、ぜひ、どこかの出版社がこの『レオポルド王の亡霊』を出さないものだろうか。調べてみると、原著はペーパーバックの表紙が何種類も出てくる。何度も版をあらためて、長期にわたって読み継がれているようだ。最近ではバーバラ・キングソルヴァーの序文がついた版もあるし、電子版もあるので、試し読みができる。コンゴについての基本的な史実を知りたい人には、いや、世界経済の根幹をなす「資源」について知りたい人に、超おすすめです。
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2023.3.11──昨夜、このブログを書きながら写真をうまくアップできずにいるうちに、消えてしまった部分があったことを、ある人から教えていただいた。それは図らずも今日で12年目を迎える「3.11」の原発事故と深く関係する部分でもあった。それを補ったことを付記しておく。